河鍋暁斎粉本
原本、模本、複数系統など一覧
作品解説
天才の筆遣いを追体験する:国会図書館デジタルコレクションで読み解く『河鍋暁斎粉本』の魅力
幕末から明治にかけて活躍し、「画鬼(がき)」の異名をとった天才絵師・河鍋暁斎(かわなべ きょうさい)。彼の圧倒的な画力と、ジャンルを問わない幅広い作風の裏には、生涯を通じて描き続けた膨大な「粉本(ふんぽん)」の存在がありました。
■ そもそも「粉本(ふんぽん)」とは?
美術の世界における粉本とは、一言で言えば「絵のお手本」「下絵」「古画の模写記録」のことです。 暁斎は7歳で浮世絵師の歌川国芳に入門し、その後は正統派の駿河台狩野派を修めました。彼は生涯を通じて「古きに学ぶ」ことを徹底し、日本の古典(『鳥獣戯画』など)から中国の古画、仏画、生き物の写生にいたるまで、あらゆるものを貪欲に模写して自身のストックとしました。
■ 当サイト(絵巻物ビューア)で注目すべき「3つの鑑賞ポイント」
国立国会図書館に所蔵されている『河鍋暁斎粉本』を絵巻物として横へ横へと読み進める際、ぜひ以下のポイントに注目してみてください。
- 迷いのない「圧倒的な墨線の美しさ」
本画(完成品)では色彩に隠れてしまう、暁斎の「生の筆遣い」がダイレクトに伝わってきます。一発描きのように見えて、狂いのない正確なデッサン力と、キャラクターの生き生きとした躍動感を、線の太さや強弱から感じ取ることができます。- 即興画(席画)を支えた、無限のポーズ集
暁斎は、酒席などで何も見ずに即興で素晴らしい絵を描く「席画(せきが)」の名手でした。絵巻物をスクロールしていくと、神仏、妖怪、動物、市井の人々が様々な角度やポーズで描かれています。この粉本こそが、彼の脳内に蓄積されていた「創作のデータベース」そのものなのです。- 伝統の継承と、独自のユーモア
狩野派の伝統的な仏画や古典的な構図を忠実に模写している真面目なページがある一方で、暁斎らしいコミカルな表情の人物や鳥獣が突然現れるのも魅力です。古典をリスペクトしながらも、自らの血肉に変えていく天才の思考プロセスが垣間見えます。■ デジタルアーカイブだからこそできる、新しい美術鑑賞
かつては限られた研究者や弟子しか目にすることができなかった絵師の「秘蔵のネタ帳」。それが今、デジタル技術によって、墨の擦れや細部まで誰でも自由に拡大して鑑賞できるようになりました。 画面をスクロールしながら、時を超えて暁斎の息遣いと、圧倒的な熱量をぜひ体感してください。 AI Modeより
各巻ごとの解説
写した元がわかったものから順に記載していきます。
注記(一部抜粋)
書名は題簽による, 書名表示は「河鍋暁斉粉本」
一部彩色
自筆
探幽富士図, 伊川人物図, 守景山水図, 鳥獣戯画, 英一蝶画等粉本の貼り込み
第6巻巻末に「明治八乙亥十一月二十五日惺々暁斎」, 第7巻所収の図に「明治十五年六月七日」の墨書あり
『帝国図書館和漢書書名目録第5編』記載の請求記号: 本別7-542
国立国会図書館デジタルコレクションより
第六巻
第六巻は鳥獣戯画の甲巻を写したものとなっています。
| 河鍋暁斎粉本 第六巻 | 鳥獣戯画(山崎董詮模) |
|---|---|