平治物語絵巻
原本、模本、複数系統など一覧
三条殿夜討巻
【ライセンス】CC0? (Wikipedia Commonsより)
【所蔵】ボストン美術館
信西巻
※転載不可
【所蔵】静嘉堂文庫美術館
六波羅行幸巻
【ライセンス】CC BY 4.0
【所蔵】東京国立博物館
待賢門合戦の巻(原本行方不明)
※転載不可
六波羅合戦の巻(原本断簡化、左の表参照)
※転載不可
常盤の巻
※転載不可
【所蔵】ARTIZON MUSEUM アーティゾン美術館
模本類
院中焼討ノ巻(三条殿夜討巻模本)
【ライセンス】CC BY 4.0
【作者】狩野伊川院栄信・中山養福
【制作時代】江戸時代・19世紀
【所蔵】東京国立博物館
三条殿焼討巻(住吉内記模)
【ライセンス】CC0
【作者】住吉内記
【所蔵】国立国会図書館
信西巻(狩野晴川院養信ほか模)
【ライセンス】CC BY 4.0
【作者】詞:住吉広定 絵:狩野晴川院養信ほか
【制作時代】江戸時代・天保14年(1843)
【所蔵】東京国立博物館
信西巻(住吉内記模)
【ライセンス】CC0
【作者】住吉内記
【所蔵】国立国会図書館
信西巻(住吉慶恩模)
【ライセンス】CC0
【作者】住吉慶恩
【所蔵】国立国会図書館
平治物語六波羅行幸ノ巻(住吉慶恩模)
【ライセンス】CC0
【作者】住吉慶恩
【所蔵】国立国会図書館
待賢門巻(横田養碩、平岡小太郎模)
【ライセンス】CC BY 4.0
【所蔵】東京国立博物館
六波羅合戦巻模本(白描、東博蔵)
※転載不可
【所蔵】東京国立博物館
常盤巻(横田養碩、平岡小太郎模)
【ライセンス】CC BY 4.0
【所蔵】東京国立博物館
常盤の巻(百耕資料館蔵模本)
※転載不可
【所蔵】百耕資料館蔵
平治物語絵巻 常盤之巻 別本
【ライセンス】CC BY-NC-ND
【所蔵】國學院大學図書館
作品解説
平治物語絵巻はかつて十数巻(『観聞御記』と『康富記』によると十五巻らしい)あったと言われているが、現在ではボストン美術館蔵の「三条殿夜討の巻」、静嘉堂文庫蔵の「信西の巻」、東京国立博物館蔵の「六波羅行幸の巻」(国宝) の3巻とその他断簡、各種模本が残されているだけとなっています。サイト内での順番は平治物語のストーリー展開順にしています。
以下ではこのカオスとなっている平治物語絵巻について、現存する原本、模本をまとめました。
三条殿夜討の巻
藤原信頼と源義朝の連合軍が上皇の御所である三条殿を突如襲撃し、御所に火を放って三条殿を焼き払い、後白河上皇や二条天皇を連れ去る合戦冒頭の劇的場面を描く。作品の流力と群像の動的描写において名高い原本は、19世紀後半にアーネスト・フェノロサ等を経て海外へ流出し、現在はボストン美術館に所蔵されている。国内には狩野派を中心とする模本が多数残されている。
| 区分 | 制作年代・作者等 | 所蔵機関 / 詳細 |
|---|---|---|
| 原本 | 鎌倉時代(13世紀後半) | アメリカ・ボストン美術館蔵 |
| 模本 | 江戸時代(19世紀) 狩野伊川院栄信・中山養福模 | 東京国立博物館蔵(院中焼討ノ巻) |
| 模本(一場面のみ) | 明治22年(1889年)以前 川辺御楯模 | 東京国立博物館蔵 |
| 模本 | 明治時代 狩野友信模 | 東京国立博物館蔵(三条殿参入) |
| 模本 | 寛政頃 住吉内記模 | 国立国会図書館 |
信西の巻
襲撃を受けた信西(藤原通憲)の山中への逃亡、穴掘り自害、そして首級が掘り起こされて京中を梟首・獄門にかけられる凄惨な場面を静謐かつ緻密に描く4。原本は国内に密蔵されて散逸を免れ、現在は重要文化財として静嘉堂文庫美術館に所蔵されている。
| 区分 | 制作年代・作者等 | 所蔵機関 / 詳細 |
|---|---|---|
| 原本 | 鎌倉時代(13世紀) 重要文化財 | 静嘉堂文庫美術館蔵 |
| 模本 | 江戸時代(1843) 詞 住吉広定、絵 狩野晴川院養信ほか | 東京国立博物館蔵 |
| 模本 | 寛政頃 住吉内記模 | 国立国会図書館 |
| 模本 | 住吉慶恩模 | 国立国会図書館 |
六波羅行幸の巻
源氏方に幽閉された二条天皇が女房の姿に変装し、内裏をひそかに脱出して平清盛の待つ六波羅邸へと行幸する政治的逆転劇の全4段を描く。構図の美しさと線描の精密さから最高傑作と評され、国宝に指定されて東京国立博物館に所蔵されている。国内外で復元模写や模本が制作されている。
平安時代末期の平治元年(1159年)、権力をめぐる2人の公家、藤原通憲と藤原信頼の争いが、武家の平清盛と源義朝の武力抗争に発展した平治の乱を描いた合戦絵巻です。
「平治物語絵巻」は現在、アメリカのボストン美術館、東京の静嘉堂文庫美術館、そして東京国立博物館がそれぞれ1巻ずつ所蔵しており、ほかに断簡十数枚が残されています。
当館(東博)が所蔵するこの六波羅行幸巻は、源氏方に幽閉された二条天皇が女房の衣装を身に付けて御所をひそかに脱出し、平清盛の六波羅邸へ迎えられる場面を描いています。
まず全体を見渡してみてください。人物の集団の大小、その配置の仕方、動きのある構図による群像表現が見事です。次に、細部を見てみましょう。武士たちのきゅっと引き締まった脚など躍動する肉体の表現。叫んだり、笑ったり、くやしがったり、豊かに描き分けられた人物の表情。きびきびした描線と美しい色彩によって動乱の緊迫したシーンをみごとに描ききっています。この絵巻は当時最高の絵師集団によって描かれたものでしょう。
ところで、このすばらしい絵巻を作らせたのはどんな人だったのでしょうか。貴族たちが白く端正な顔立ちで描かれているのに対して、武士はどんぐり眼に鷲鼻の下卑た様子で描かれています。さらに、よく統率された武士たちがかしこまっている様子は、この絵巻を描かせたのが公家の側であったことを物語っています。公家から武家へ、政治の大転換期を記録する歴史絵巻を描かせたのは、政治の舞台から去る公家の側でした。せめて絵巻の中では、武士たちをこんなふうにコントロールしていたかったのかもしれません。 ColBaseを編集
| 区分 | 制作年代・作者等 | 所蔵機関 / 詳細 |
|---|---|---|
| 原本 | 鎌倉時代(13世紀) 国宝 | 東京国立博物館蔵 |
| 模本 | 万延元年(1860年) 帆山唯念(花乃舎)模 | 名古屋市博物館蔵(森川コレクション) ※編集不可なためこのサイトへ転載できず |
| 模本 | 江戸時代(18世紀) 模本断簡 | メトロポリタン美術館蔵 |
| 模本 | 明治44年(1911年) 伝住吉慶恩 / 東京考古学会刊 | メトロポリタン美術館蔵 |
| 模本 | 住吉慶恩模 | 国立国会図書館 |
待賢門合戦の巻
宮中の待賢門周辺において繰り広げられた源氏と平家の激突を描いた一巻である。江戸時代以前に原本が完全に失われており、原本は現存しない。しかし、江戸時代の絵師たちが写し取っていた模本が残存しており、それによって当時の場面展開を現代に知ることができる。
| 区分 | 制作年代・作者等 | 所蔵機関 / 詳細 |
|---|---|---|
| 原本 | 鎌倉時代(13世紀) | 散逸(原本現存せず) |
| 模本 | 江戸時代(18〜19世紀) 模本巻 | 東京国立博物館蔵(待賢門巻) |
六波羅合戦の巻
『平治物語』のクライマックスにあたる平家と源氏の六波羅決戦、および敗れ去った源義朝主従の落人が描かれる。江戸時代末期までに原本の一巻としての形状は解体・切断され、断簡として茶人やコレクターの手で分蔵された。一方、全画脈を写した白描模本が東京国立博物館に収蔵されている。
| 区分 | 制作年代・作者等 | 所蔵機関 / 詳細 |
|---|---|---|
| 原本(断簡) | 「三条河原の決戦」 | MIHO MUSEUM蔵 |
| 原本(断簡) | 複数幅伝存 | 石橋財団アーティゾン美術館蔵 |
| 原本(断簡) | 「落ち行く義朝主従」 | 大和文華館蔵 |
| 原本(断簡) | 断簡 | メトロポリタン美術館蔵(バーク・コレクション) |
| 原本(断簡) | 断簡 | 個人蔵(複数) |
| 模本 | 江戸時代 横田養碩・平岡小太郎模 | 東京国立博物館蔵(白描模本) ※転載不可 |
| 模本 | 江戸時代〜近代 模本 | 早稲田大学図書館蔵 / 久留米文化財収蔵館寄託 |
| デジタル復元 | 小林泰三氏 | 『国宝よみがえる彩色』 小林泰三 など |
常盤の巻
合戦の直接的な激闘ではなく、『平治物語』後半部にあたる常盤御前が牛若丸ら幼子を連れて雪の都を逃れ六波羅に出頭する過程から、源頼朝の伊豆配流と池禅尼との対面までを描く。三条殿夜討などの主要合戦巻(ボストン本・静嘉堂本・東博本)とは詞書や画風の系統が異なる別系統の作品である9。原本はアーティゾン美術館に収蔵されており、重要文化財に指定されている。
| 区分 | 制作年代・作者等 | 所蔵機関 / 詳細 |
|---|---|---|
| 原本 | 鎌倉時代(13世紀) 重要文化財(全5段) | 石橋財団アーティゾン美術館蔵(烏丸光広極書) |
| 模本 | 江戸時代 模本 | 東京国立博物館蔵(常盤巻) |
| 模本 | 江戸時代 筆者不詳 | 百耕資料館蔵(原本の第1段・第5段が欠失した模本) |
| 模本 | 江戸時代中期 筆者不詳 | 國學院大學図書館蔵(挙母藩主内藤家旧蔵本) |
| 模本 | 江戸時代中期〜後期 | 國學院大學図書館蔵(平治物語絵巻 常盤之巻 別本) |
| 模本 | 江戸時代 模本 | 東北大学附属図書館蔵 |