餓鬼草紙
原本、模本、複数系統など一覧
河本家本(東京国立博物館本)
【ライセンス】CC BY 4.0
【所蔵】東京国立博物館
曹源寺本(京都国立博物館本)
※転載不可
【所蔵】京都国立博物館
田中訥言模
【ライセンス】CC BY 4.0
【所蔵】東京国立博物館
奈良国立博物館蔵模本
※転載不可
【所蔵】奈良国立博物館
作品解説
河本家本(東京国立博物館本)
餓鬼とは、生前に、欲望のままに悪い行いをした報いにより、常に飢えや渇きの苦しみに悩まされる死者の霊のこと。平安時代末の浄土信仰を背景に制作されたこの絵巻には、不気味な餓鬼達の様子が細かく描写されています。「餓鬼草紙」は『正法念処経』にもとづいて描かれた絵巻ですが、伝来の過程で図の説明にあたる詞書が失われており、 各場面が何を表わしているかについてはいくつかの説があります。ここではその一部を見ていくこととしましょう。
まずは音楽を楽しむ男女を描いた場面。肩や胸に小さな餓鬼が取り付いています。これは仏の教えを軽んずる人の精気を食らう餓鬼と考えられています。つぎに出産の場面では、生まれでた赤ん坊を食らおうと餓鬼が手を伸ばしています。これは生前に病人を騙したものが地獄から這い上がってきた姿です。また人々の排泄物を食らおうと待ち構える餓鬼の姿。僧侶に与えるべき食料をよごした者がこの姿になるといいます。
いずれも恐ろしい餓鬼の姿。こうした姿を目の当たりにすることは、自身の生活を反省することに繋がるものといえるでしょう。みなさんにはどう感じられますか?
なお、本作はもともと、後白河法皇がつくらせ、三十三間堂で有名な京都・蓮華王院の蔵で保管されていた「六道絵」の一部と推定されています。 ColBaseより
曹源寺本(京都国立博物館本)
1巻の絵巻に収められている詞・絵とも7段の餓鬼の物語のうちの1つで、墓に手向けられた水のしたたりをなめて、わずかに命を保つ食水餓鬼を描く。餓鬼は頚がとくに細く、手足もやせこけているのに、腹のみ肥大して、常に餓えに苦しむ様をあらわすが、この姿は人の目にはみえない。画面はこの悲惨な様子を柔軟な線と淡彩で軽快に描きだし、貴顕老若男女が雑踏する寺の門前の光景を添えて、さりげなく表現している。しかし、それは鎌倉時代の六道絵のどきつい表現にもまして、深刻な懺悔を迫るひとこまといえよう。平安時代後期に流行した一連の六道絵巻の1つである。 ColBase より